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27 May 2016
ブナハーブン蒸留所 Bunnahabhain アイラウイスキーの旅 [スコットランド蒸留所巡り]
ブナハーブン蒸留所の門この石組みのきれいな建物が入江に沿って並んでいる.
アイラらしからぬ中でのアイラらしさの探究をするなら,このウイスキーは良い材料だろう.重厚な褐色の液体の向こうから見えてくる,ほのかなピート味と塩味は,ピートの層を通って茶色になってしまったこの島の湧水によるのだろうか.
ポットスチル.この訪問は冬のような寒さで,この部屋は酒の香と温かさのうれしい.
カリラからいくつかの入江の向こうにあるこの蒸留所はアイラ島の蒸留所の中でも,公共交通機関ではたどり着くことが難しいもののひとつである.雨の降りしきる中,とぼとぼと丘を越えて,蒸留所へ向かっていると,赤いゴルフがクラクションを鳴らして近づいてきた.「あなたブナハーブンの蒸留所に向かっているでしょう?」この島では人々は顔見知りで,よそ者で東洋人が歩いていると観光客と認定されるムラ社会なのだ.「いいから乗って.送っていくわ.今日はツアー客が来てるはずだから,彼らと一緒にツアーに参加すればいいわよ」と事務のやや年配のご婦人の送迎を受ける.周りには小さな集落があり,蒸留所の従業員が済んでいるらしい.ザンザ降りのなか,コペンハーゲンからのツアー客に交じって,蒸留所ツアーに参加した.完全に飛び入りである.聞くと,9月でもツアーを受け付けていない時期であったようだ.
事務所への階段.ここでツアー申込も.
おっさんたちが楽しそうにスピリットを樽詰め.香りだけでも十分に酔えるような.
石積みの重厚な,海から見ると要塞のようにも見えそうな,建物群の前には一本の桟橋が伸びていた.アイラの蒸留所にはこの桟橋がつきもので,ここからスコットランド本土やアイルランドへの積み出し,材料の搬入を行ってきたという.
ピアからの風景.海沿いの蒸留所によくある綴りの書いた白い壁
塩味とピート味はかすかに効いているものの,不感症であるとスペイあたりの何でもない蒸留所と勘違いしてしまいそうな,そのようなウィスキーである.骨格の中にアイラのニュアンスを読み取れた瞬間が私は嬉しい.
18 May 2016
スキャパ蒸留所 Scapa [スコットランド蒸留所巡り]
この蒸留所はどうにもとっつきにくく,何とも個性が同定できなくて苦労をしたもののひとつである.日本にいてもわからないだろうからと出かけていった.
蒸留所の風景
Scapaの海岸を望める高台に広がっていて,ゆったりとした時間が流れている.陽ざしの温かい晴れ上がった午後に,小川の流れる音や打ち返す波の音,羊の咀嚼音や鳴き声,青臭い草木の香りを嗅いでいるだけで,島まで来た意義がある.ヴィジターセンターにはスミス社のアンティークの壁掛け時計がぶら下がっている.
なだらかな丘陵の中でのんびりと
スキャパを個性のない酒と思っていたが、現地で再発見される個性
16年のカスク(未発売)はややオイリーだが,エレガントの一言でまとめてしまうのは惜しい気もする.フローラルで,グレープフルーツやオレンジを思わせるやや甘いシトラス香やファッジのカラメル香,これらも強くもなく,弱すぎずで,天気の変わりやすい島の晴れ間くらい繊細だった.ノンビンテージばかりが出てくる昨今ではなかなかできない貴重な大変であった.
施設全景.天気は最高峰
ある意味お約束の風景
Scapaビーチを望んで
行き方・予約
行き方:バス#2(一日6本)でKirkwall Travel centreから.乗車時にScapa Distillery と告げると途中で下してくれる.帰りはその向かいの道路で,バスに向かって手を振るのみ.往復券を買うとよい.
予約:望ましい.携帯電話の電波が悪い地区もあるため,滞在先のホテルから予約なり,事前メールなり手を尽くす.
戦史マニアにはたまらない英軍と独軍のスカパ フローとして知られる入江.ストローンウェルまで行くと戦史博物館がある.引き上げられた工具や弾丸,戦艦の食器など.おびただしい戦艦の沈没している海域である.
11 May 2016
ハイランドパーク Highland Park [スコットランド蒸留所巡り]
オークニーへの旅路
一日にエジンバラから何便かSAAB340でとろとろと飛んでいくこと1時間で着くこの島には2つの蒸留所がある.個性はあるものの,アイラ島のような強烈なものはなく,どこか影の薄い存在である.
その程度の認識で島に渡ったものであるから,飛行機は2時間遅れ,ロストバケージの上,レンタカー屋も早々にシャッターをおろしていた.何かの罰だろう.飛行機マニアであるだろう観光案内所のおじさんがやさしくタクシーを呼んでくれた.そんな始まりで,島の人情を感じる旅は始まった.
隣の敷地からもこの通り.
キルンが象徴的なハイランドパーク蒸留所の外観
Highlandでもないのにこの名前がついているというある意味不思議な蒸留所である.小高い丘の上にあり,そこからHighlandの名前がついたというが,Kirkwall (キルクウォールとでも表記するか)の中心からは坂をえっちらおっちら上ったその先での蒸留所である.パゴタを思わせる二つのキルン(煙突)は遠くスキャパの蒸留所からも見える.
マッシュタンクからはいつものイースト香
磨かれたポットスチル
ツアー向けの言葉と思い巡らす言葉は分けた方が良いのか?
England風のジョークを混ぜながらのツアーは,他の蒸留所と大きく違わない過程を見せるだけである.ピートは島によって違うだろうから,アイラのものとも実は香りが違うのではないかとか,そういうことにはあまり興味がないのかもしれない.アメリカンオークとフレンチ/スパニッシュオークと呼びならわしてしまうのはややもったいないドラマがあるのだけど,そこもすっ飛ばし,後ろ髪ひかれながらのテイスティングとなる.
スモーキー(この言葉はTrickyであるから,好きではないが)で,シェリーの利いたウィスキーのバリエーションが楽しめる3種類テイスティング.ピーティの印象まで変わるアメリカンかフレンチかの違いは加水しないカスクならより鮮明になるだろう.税金対策とはいえ,スコットランド人の精神性ではそこまで回らないのかもしれない.
ピートは積まれてこの通り.いろんな混ざりものがあるようにおもう.
貯蔵庫
オークニー諸島の中でも有数の大企業であり,一大観光スポットであるのは確かだろう.クルーズ船が立ち寄ると人でいっぱいになるという.
このすぐそばのLynnfield hotelではオールドのボトルをはじめ様々なウィスキーが楽しめる.
行き方・予約
行き方:Kirkwallのcity centreから徒歩13分.地図参照されたし.
予約:望ましい.メールで予約可能.12時30分からのコノショワなどは英語力要
18 April 2015
カリラ蒸留所 Caol ila [スコットランド蒸留所巡り]
Caol ila
フランス資本は内部の撮影が禁止で,配線一つ一つにまでバーコードが振ってある.新しい設備はどこか大仰で,フランスから買ったのかと疑いたくなるものもある.20年,30年前は一日5杯のdramの支給があったそうだが,いろいろな理由から無くなったそうだ.懐かしそうにそれを話してくれるスタッフが多いのだ.労働者のことを考えると,一日5杯のdramは必須ではないか?労働者の国よ.
さて,Port Askaigの隣の入江のこの地からは,アイラ島で最も人間的で,自然の美しさを感じさせる風景が見える.同じ高さの山で,女性の乳房ようにつんとたったその姿は霧の向こうに見えると官能性まで感じさせ,これを眺めながら育った酒はどうなってしまうのだろうか?
そんな地にも関わらず,この蒸留所は島で一番の産量を誇り,過半数はブレンドにまわされる.しかもアイラ島での熟成は少数で,スコットランド中のWarehouseに保管されるというのだから,完全に商業である.
ピート臭は控えめで,塩気のある酒であるが,ジュラ海峡に吹く風による塩気ではないようだ.
フランス資本は内部の撮影が禁止で,配線一つ一つにまでバーコードが振ってある.新しい設備はどこか大仰で,フランスから買ったのかと疑いたくなるものもある.20年,30年前は一日5杯のdramの支給があったそうだが,いろいろな理由から無くなったそうだ.懐かしそうにそれを話してくれるスタッフが多いのだ.労働者のことを考えると,一日5杯のdramは必須ではないか?労働者の国よ.
さて,Port Askaigの隣の入江のこの地からは,アイラ島で最も人間的で,自然の美しさを感じさせる風景が見える.同じ高さの山で,女性の乳房ようにつんとたったその姿は霧の向こうに見えると官能性まで感じさせ,これを眺めながら育った酒はどうなってしまうのだろうか?
そんな地にも関わらず,この蒸留所は島で一番の産量を誇り,過半数はブレンドにまわされる.しかもアイラ島での熟成は少数で,スコットランド中のWarehouseに保管されるというのだから,完全に商業である.
ピート臭は控えめで,塩気のある酒であるが,ジュラ海峡に吹く風による塩気ではないようだ.
13 September 2014
キルホーマン蒸留所 アイラ島 Kilchoman [スコットランド蒸留所巡り]
Kilchoman
Loch Gormを右手に見ながらBridgentから20分車を走らせると,茂みの中から煙が上がっているのが見えてくる.Kirchomanの蒸留所だ.農家の中での製造を続けており,九州の山奥の我楽房の雰囲気もある.そばでは羊やポニーが,何をするでもなく湖や来訪者を眺め,青リンゴのような乾草の香りが漂っている.
100% Islayを標榜するように,すべて(樽と瓶以外)を自前でまかなっていこうという新しい蒸留所.ビッグビジネスになってしまった他の蒸留所からすると,ひとの手を感じさせるプロセスが多く残り,家内性手工業であった18世紀以前のウィスキー作りを追体験できる.
麦やピートもアイラ産で,アイラ島でボトリングまで行うのだから,その様子を眺めるだけでも,行く価値はある.(ただし,熟成は連合王国本島で行うものがある.)
年は若く,黄金色までいかないが,初秋のスコットランドの,午後の陽ざしの薄い黄色が多い.バニラ香のする,ピートの利き,アイラらしい潮風が流れる.
2tごとのmaltingで,小ロット生産.single maltでは品質管理が難しい気がするが,スタッフは気に留めていないような返事であった.アイラ島ブランドで押していくのはよいが,Edradawerにならないことを祈るのみ.今のところ一か所のバーボン樽を主に使用しており,これは小ロット生産の強みかもしれない.
アイラ島のクリーミーな生ガキには,ここの100% Islayを勧める.
Loch Gormを右手に見ながらBridgentから20分車を走らせると,茂みの中から煙が上がっているのが見えてくる.Kirchomanの蒸留所だ.農家の中での製造を続けており,九州の山奥の我楽房の雰囲気もある.そばでは羊やポニーが,何をするでもなく湖や来訪者を眺め,青リンゴのような乾草の香りが漂っている.
麦やピートもアイラ産で,アイラ島でボトリングまで行うのだから,その様子を眺めるだけでも,行く価値はある.(ただし,熟成は連合王国本島で行うものがある.)
年は若く,黄金色までいかないが,初秋のスコットランドの,午後の陽ざしの薄い黄色が多い.バニラ香のする,ピートの利き,アイラらしい潮風が流れる.
2tごとのmaltingで,小ロット生産.single maltでは品質管理が難しい気がするが,スタッフは気に留めていないような返事であった.アイラ島ブランドで押していくのはよいが,Edradawerにならないことを祈るのみ.今のところ一か所のバーボン樽を主に使用しており,これは小ロット生産の強みかもしれない.
アイラ島のクリーミーな生ガキには,ここの100% Islayを勧める.
アードベック蒸留所 アイラ島 Ardbeg [スコットランド蒸留所巡り]
Ardbeg
ポートエレンからの三姉妹で最も離れた蒸留所で,何度も閉鎖の危機を乗り越えてきた蒸留所である.
二コブの小さな岩からついたこの名前は,蒸留所の前の湾の香りのようにふくよかな恵みを感じさせる.
様々なツアーがあり,3泊以上からのコテージもあるため,長期滞在者にも飽きることがないだろう.恐ろしく不便であるが.海を眺めて,この周囲の岩肌を眺めているだけでも,のんびりするのだが.
ツアーでは
シェリーやバーボンのカスクを4杯と,現在発売中のものから一杯をテイスティングできる.転換点となった閉鎖の歴史を感じさせるセレクションであった.Ardbegらしい,ピートの低い中の海の香りはいつの時代も作り手が変わっても健在であった.水とモルトのなせる業で,テロワールと呼んでもいいのかもしれない.
フランス資本らしく,内部は撮影禁止
ポートエレンからの三姉妹で最も離れた蒸留所で,何度も閉鎖の危機を乗り越えてきた蒸留所である.
二コブの小さな岩からついたこの名前は,蒸留所の前の湾の香りのようにふくよかな恵みを感じさせる.
様々なツアーがあり,3泊以上からのコテージもあるため,長期滞在者にも飽きることがないだろう.恐ろしく不便であるが.海を眺めて,この周囲の岩肌を眺めているだけでも,のんびりするのだが.
ツアーでは
シェリーやバーボンのカスクを4杯と,現在発売中のものから一杯をテイスティングできる.転換点となった閉鎖の歴史を感じさせるセレクションであった.Ardbegらしい,ピートの低い中の海の香りはいつの時代も作り手が変わっても健在であった.水とモルトのなせる業で,テロワールと呼んでもいいのかもしれない.
フランス資本らしく,内部は撮影禁止
ジュラ蒸留所 ジュラ島Jula [スコットランド蒸留所巡り]
Jula
車がないと一日がかりで,ツアーにも参加できないのが,この蒸留所だ.ウイスキーを飲みながらの運転は危険だし,スピードを出して走るのがマナーみたいな国だから,スコットランド中を運転するのはウィスキーマニアにはきついかもしれない.
Laphroaigの午後,IslayとJulaをわたるフェリーに乗り,5分.荒野の一本道を飛ばすこと20分.Goerge Orwellもこの道を通ったかと思いながら,羊がのんびりうごめくのを見て,小さな集落に到着する.生息数の多い順に羊,鹿,ヒトのようで,人間様は小さくなって足早に動くしかない.
Julaは香りと味のストーリーを大切にする蒸留所だ.樽の材質,樽の由来にこだわり,冷たい雨や荒野を歩いた後のほっと温まる台所のひと時や懐かしい人たちとの情熱的なひと時を思わせるウィスキーを作っている.蒸留の過程より,熟成の期間や方法論に重きを置いたツアーも展開している.誰も訪問客がないと日がな一日ウイスキーのことだけを話していられる最後の楽園。
連合王国もこの最果てまで来るとようやくひとごこちつける空気がある.遠い極東の島国と同じ習慣や考え方,同じベクトルの酒があり,これを真面目に守って暮らす,Englandのヒトとは異なるひとがいる.香りからの連想は習慣によるものであるし,この多様性は,異国から王様を迎え,世界中に植民地を持ち続けようとした連合王国では守られないであろう.
車がないと一日がかりで,ツアーにも参加できないのが,この蒸留所だ.ウイスキーを飲みながらの運転は危険だし,スピードを出して走るのがマナーみたいな国だから,スコットランド中を運転するのはウィスキーマニアにはきついかもしれない.
Laphroaigの午後,IslayとJulaをわたるフェリーに乗り,5分.荒野の一本道を飛ばすこと20分.Goerge Orwellもこの道を通ったかと思いながら,羊がのんびりうごめくのを見て,小さな集落に到着する.生息数の多い順に羊,鹿,ヒトのようで,人間様は小さくなって足早に動くしかない.
Julaは香りと味のストーリーを大切にする蒸留所だ.樽の材質,樽の由来にこだわり,冷たい雨や荒野を歩いた後のほっと温まる台所のひと時や懐かしい人たちとの情熱的なひと時を思わせるウィスキーを作っている.蒸留の過程より,熟成の期間や方法論に重きを置いたツアーも展開している.誰も訪問客がないと日がな一日ウイスキーのことだけを話していられる最後の楽園。
連合王国もこの最果てまで来るとようやくひとごこちつける空気がある.遠い極東の島国と同じ習慣や考え方,同じベクトルの酒があり,これを真面目に守って暮らす,Englandのヒトとは異なるひとがいる.香りからの連想は習慣によるものであるし,この多様性は,異国から王様を迎え,世界中に植民地を持ち続けようとした連合王国では守られないであろう.
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