13 September 2014
キルホーマン蒸留所 アイラ島 Kilchoman [スコットランド蒸留所巡り]
KilchomanLoch Gormを右手に見ながらBridgentから20分車を走らせると,茂みの中から煙が上がっているのが見えてくる.Kirchomanの蒸留所だ.農家の中での製造を続けており,九州の山奥の我楽房の雰囲気もある.そばでは羊やポニーが,何をするでもなく湖や来訪者を眺め,青リンゴのような乾草の香りが漂っている.
麦やピートもアイラ産で,アイラ島でボトリングまで行うのだから,その様子を眺めるだけでも,行く価値はある.(ただし,熟成は連合王国本島で行うものがある.)
年は若く,黄金色までいかないが,初秋のスコットランドの,午後の陽ざしの薄い黄色が多い.バニラ香のする,ピートの利き,アイラらしい潮風が流れる.
2tごとのmaltingで,小ロット生産.single maltでは品質管理が難しい気がするが,スタッフは気に留めていないような返事であった.アイラ島ブランドで押していくのはよいが,Edradawerにならないことを祈るのみ.今のところ一か所のバーボン樽を主に使用しており,これは小ロット生産の強みかもしれない.
アイラ島のクリーミーな生ガキには,ここの100% Islayを勧める.
アードベック蒸留所 アイラ島 Ardbeg [スコットランド蒸留所巡り]
Ardbegポートエレンからの三姉妹で最も離れた蒸留所で,何度も閉鎖の危機を乗り越えてきた蒸留所である.
二コブの小さな岩からついたこの名前は,蒸留所の前の湾の香りのようにふくよかな恵みを感じさせる.
様々なツアーがあり,3泊以上からのコテージもあるため,長期滞在者にも飽きることがないだろう.恐ろしく不便であるが.海を眺めて,この周囲の岩肌を眺めているだけでも,のんびりするのだが.
ツアーでは
シェリーやバーボンのカスクを4杯と,現在発売中のものから一杯をテイスティングできる.転換点となった閉鎖の歴史を感じさせるセレクションであった.Ardbegらしい,ピートの低い中の海の香りはいつの時代も作り手が変わっても健在であった.水とモルトのなせる業で,テロワールと呼んでもいいのかもしれない.
フランス資本らしく,内部は撮影禁止
ロイヤルロッホナガー蒸留所 Royal Lochnagar [スコットランド蒸留所巡り]
Royal lochnagar女王陛下の避暑地で製造されるこのウイスキーはどこか,高貴であるが親しみを持たせる英王室のような味わいである.バルモラル城の前の端をわたり,Scotland yardの格好をした人を横目に,左におれ砂利道を上がっていくと蒸留所となる.
バルモラル城は見えないが,この蒸留所では英王室との強いつながりを感じさせる逸話が多くある.この手の話はゴシップでもあり,興味がなさそうに聴くのが良い.ぜひ訪れて,Gordonに聞いてもらうとして,先へ行く.
あとはお決まりのモルトからウィスキーまでのツアーである.
テイスティングでは,spilit,12年のオフィシャル,Friend edition,Selected editionとあともう一本の何かを試飲させてもらえる.Spilitから始まり,何を感じるべきか,感じてもよいか,年を経るとどうなり,変わりゆくもの・変わらないものをいただける.それぞれで飲んだ感想は違うのだから,このブログではあえて記載をしない.先入観が最も感じるものを少なくさせるのだ.
<参加方法>
ホームページよりRoyal tourへの参加をメールで申し込む(もちろん英語).ツアー参加にはそれなりのコミュニケーション力があった方が楽しめる.それに加えて王室の知識も.
ジュラ蒸留所 ジュラ島Jula [スコットランド蒸留所巡り]
Jula車がないと一日がかりで,ツアーにも参加できないのが,この蒸留所だ.ウイスキーを飲みながらの運転は危険だし,スピードを出して走るのがマナーみたいな国だから,スコットランド中を運転するのはウィスキーマニアにはきついかもしれない.
Laphroaigの午後,IslayとJulaをわたるフェリーに乗り,5分.荒野の一本道を飛ばすこと20分.Goerge Orwellもこの道を通ったかと思いながら,羊がのんびりうごめくのを見て,小さな集落に到着する.生息数の多い順に羊,鹿,ヒトのようで,人間様は小さくなって足早に動くしかない.
Julaは香りと味のストーリーを大切にする蒸留所だ.樽の材質,樽の由来にこだわり,冷たい雨や荒野を歩いた後のほっと温まる台所のひと時や懐かしい人たちとの情熱的なひと時を思わせるウィスキーを作っている.蒸留の過程より,熟成の期間や方法論に重きを置いたツアーも展開している.誰も訪問客がないと日がな一日ウイスキーのことだけを話していられる最後の楽園。
連合王国もこの最果てまで来るとようやくひとごこちつける空気がある.遠い極東の島国と同じ習慣や考え方,同じベクトルの酒があり,これを真面目に守って暮らす,Englandのヒトとは異なるひとがいる.香りからの連想は習慣によるものであるし,この多様性は,異国から王様を迎え,世界中に植民地を持ち続けようとした連合王国では守られないであろう.
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